鍼灸コラム

鍼灸師について

鍼灸師として開業するなら必須!開業時の手続きについて

2019.1.25

鍼灸師としての道を歩む場合、多くの人は将来的な目標として独立開業を掲げているのではないでしょうか。独立開業をすれば仕事の内容も自分の裁量で決められるようになり、年収も大幅にアップする可能性が高くなるからです。当然、やりがいもそれだけ大きなものとなります。ただ、そのためには所定の手続きを行わなければなりません。そこで、鍼灸師として開業を目指しているけれど、具体的にどういった手順で行えばよいのかわからないという人のために、開業手続きの流れについて解説をしていきます。

☆鍼灸師の開業には細かな規定や手続きがある

鍼灸師の国家資格さえ持っていれば開業は認められています。それから、開業に必要なのは開業資金です。とりあえず、この2つがあれば開業は可能です。ちなみに、資格を取得するには高校卒業後に国から認定を受けている養成学校で3年以上学び、はり師ときゅう師の試験に合格する必要があります。どちらか片方でも開業は可能ですが、将来的なことを考えれば両方取得しておくのがよいでしょう。一方、開業資金は条件によっても異なりますが、相場は300~500万円といったところです。
ただ、この2つの条件を満たせば、あとは勝手に商売を始めてもよいというわけではありません。所定の規則を踏まえた上で、必要な手続きを滞りなく行う必要があるのです。もし守らない場合には罰金などのペナルティが科せられることになります。

 

☆店舗を持つ場合の届け出

鍼灸師として店舗を開業するためにはまず、最寄りの保健所に「施術所の開設届」を提出する必要があります。期限は開設後10日以内です。その際、重要なのは、開設した店舗が施設所としての構造設備基準を満たしているかどうかです。設備基準に関しては法律施行規則第 25 条及び柔道整復師法施行規則第 18 条に定められています。それによると、基本条件として挙げられているのが6.6平方メートル以上の専用の施術室及び、3.3平方メートル以上の待合室を有しているという点です。その上で、適切な空気の換気ができることと施術に用いる器具・手指などの消毒設備が求められます。それから、施術所の名称についても注意が必要です。「○○治療院」、「○○治療所」などといった医療機関と間違いやすいもの、「~科」といった具合に科がつく名称はまず認められません。
ただ、以上の点はあくまでも一般論であり、具体的な条件になると保健所によって解釈が異なる場合があります。たとえば、換気についてはそれなりの大きさの窓や換気扇が必要なところもあれば、小さな換気扇でも大丈夫なところもあるといった具合です。また、待合室と施術室は仕切りをつける必要があるのですが、これも仕切りが天井まで達していないと許可が下りない場合もあれば、カーテンだけの仕切りで十分なところもあります。したがって、不合格になるのを防ぐためには、事前に物件の平面図を持参して保健所を訪ねることが大切です。そして、相談をした後に開設届を提出すれば、検査に通りやすくなるというわけです。
ちなみに、万が一、届けを出すのを遅れた場合は遅延理由を書いた書類を添付して提出する必要があります。逆に、出し忘れないようにと開設前に提出することはできません。

 

☆訪問診療のみ行う場合の届け出

通常、鍼灸院を開業する際は保健所の検査が行われますが、訪問診療専門の場合は話が別です。院内で施術を行わないので検査をする必要がないのです。その代わり、保健所に「出張業務開始届」を提出しなければなりません。出張業務開始届とは書いて字のごとく、出張専門業務を行う際に必要な届出です。こちらも開設後10日以内に書類を提出する必要があります。ただし、「施術所の開設届」をすでに提出している場合はこの書類は不要です。

 

☆開業届の提出

業種にかかわらず、個人事業の開業時には税務署への届け出が必須となります。より具体的にいうと、開業後1カ月以内に『個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)』を提出しなければならないのです。この書類は税務署で受け取ることができますし、国税局のホームページからもダウンロードが可能です。書類を入手したならば必要事項を記入し、税務署の窓口または郵送にて提出をします。窓口で提出する場合は2部の用紙に記入し、その内1部を控えとして受け取ります。もし、郵送で控えが必要な場合は切手を貼った返信封筒に住所を書き、書類と一緒に郵送しましょう。控えは銀行口座の開設時や助成金の申請時などに必要となってくる場合があるので、必ず大切に保管しておくようにしてください。
また、申請の際は書類の添付などは特に必要ありませんが、マイナンバーの記載は必須です。なお、税務署の窓口ではなりすまし防止のために身分証明書の提示が義務付けられています。同様に、郵送の際にも本人確認書類の写しの添付が必要です。ちなみに、マイナンバーを確認できる書類としてはマイナンバーカードの他に、「マイナンバー通知カード」「マイナンバーの記載がある住民票の写し」「マイナンバーの記載がある住民票記載事項証明書」などがあります。

 

☆青色申告承認申請

開業届と同時に手続きをすませておきたいのが、青色申告の申請です。開業届と異なり、青色申告の申請は義務だというわけではありません。しかし、青色申告には白色申告にはない、多くのメリットがあります。まず、青色申告を行うと、確定申告の際に利益から65万円分を控除することが可能です。また、赤字を3年分繰り越すことができます。たとえば、1年目と2年目が100万円ずつの赤字だったとして3年目が200万円の黒字だった場合、相殺して3年目の利益をゼロにできるのです。青色申告は開業年度から行えるため、最初に手続きをすましておけば所得税の額を大幅に減らすことができます。
ちなみに、青色申告で65万円の控除を受けるためには複式簿記で帳簿をつけなければなりません。仮に、これを手書きで行うと簿記の専門的な知識が必要になってきます。もし、その知識がないというのであれば、会計ソフトを使うのがよいでしょう。取引記録を入力しただけで自動的に計算をしてくれます。青色申告は開業年度より行えますが、もし申請した時期が開業から2カ月以上経過した場合はその次の年からの適用になってしまいます。そうしたことがないようにするためにも、申請は開業手続きと同時に行うのが賢明だというわけです。

 

☆個人事業税に関する手続き

個人事業主が支払う税金には所得税、住民税、消費税などがありますが、意外に忘れがちなのが個人事業税です。これは事業所得が290万円を超える部分に対して3%の税金がかかるというものです。したがって、新たに開業する場合は都道府県税事務所に行き、事業開始等の届け出を行う必要があります。そのためにはまず、都道府県税事務所で受け取るか、各ホームページで書式をダウンロードするかして申請書類を入手しなければなりません。その上で、必要事項を記入して直接窓口に提出するか、もしくは郵送するようにしましょう。この場合も開業届と同じくマイナンバーの記入と身分証明書の提示は必須です。提出期限は自治体によっても異なりますので、必ず事前に確認するようにしてください。

 

☆鍼灸師会への入会

鍼灸院の開業の際に検討をしておきたいのが鍼灸師会への入会です。鍼灸師会とは鍼灸学術の発展や鍼灸師の資質及び福祉の向上などの目的で設立されたはり師、きゅう師による職能集団です。開業をしたからといって必ず入会しなければならないというわけではありませんが、参加することで多くのメリットを得られます。まず、さまざまな講習会や研修会に参加することが可能になります。鍼灸師の他に医師など、さまざまな分野の講師による講義を受けられるので、積極的に参加することで鍼灸師としてレベルアップが図れるというわけです。
また、賠償保険に加入できるというのも大きなメリットです。わずかな保険料で高額の保障が受けられるので、経営を行う上での安心につながります。一方、鍼灸院を経営する際にはレセプト事務をいかにこなすかが大きな問題となってきます。レセプト事務とは施術費用の中で、保険で賄われる部分を審議機関に申請するために手続きを行うことです。ところが、この作業はかなりの手間を伴い、量が多いと本来の業務を圧迫しかねません。その点、鍼灸師会に入会するとレセプト事務の作業をサポートしてくれるので大幅な負担軽減につながります。鍼灸院の経営をスムーズに行うためには見逃せないポイントだといえるでしょう。

 

☆必要な手続きを知って開業を目指そう!

鍼灸院を開業する場合、それ自体はさほど難しくはありません。必要なのは鍼灸師の国家資格と開業資金の2つだけです。ただ、それらとは別に、行わなければならない手続きが存在します。たとえば、施術所の開設届や開業届の提出などです。そうした手続きを忘れているとペナルティが科せられる場合もあるので注意が必要です。また、鍼灸師会に入会するか否かという問題もあります。入会は義務ではありませんが、それによって多くのメリットがあるという点は押さえておきたいところです。以上のように、開業に必要な手続きにはどのようなものがあるのかをよく理解し、鍼灸院経営の着実な一歩を踏み出していきましょう。

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  • 参考になった (2)
 
鍼灸師になるには、国家資格取得養成校を卒業し、
国家試験に合格することがまず必要です。
その後、開業や就業となるわけですが、
この資格のメリットとして、開業権の取得があります。
医療の中では、医師や柔道整復師等と同様に
資格取得とともに開業できるのは魅力ですね。
開業の方法もいろいろありますので、
専門学校や治療院の先生方に聞いておくといいですね。
本校では専任教員の半数が開業していますので、
入学後はいろいろアドバイスできますよ。

東洋鍼灸専門学校 学科長補佐

松田 直哉(まつだ なおや)

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