鍼灸コラム

鍼灸師について

鍼灸師として開業するには?必要な準備について

2018.6.11

鍼灸師が開業するには、開業資金の確保はもちろんのこと、法律上の手続きや推奨される他の資格取得など、それぞれの手順において知っておくべきことがあります。鍼灸師を目指して学校に通っている人は、最初はしっかりと知識と技術を身につけて経験を積むことが肝心です。そして、その後に開業し、独立独歩の道を歩むというのは大きな目標になります。開業の準備を計画的に進めていくためにも、なにが必要なのかを確認しておきましょう。

☆資格取得から開業までの流れ

はり師ときゅう師の国家資格を取得している鍼灸師であれば、いつでも開業することが可能です。ただ、開業資金を貯めなければなりませんし、修行期間を通じてしっかりとした技術を身につけて、顧客の信頼を得る努力も必要になります。他の鍼灸院などで勤務鍼灸師として2~3年働くのが一般的でしょう。
開業資金が十分に貯まり、機は熟したと感じたならば、実際の開業準備に入らなければなりません。鍼灸院は建物をつくるのか、テナントを借りるのか、それとも店舗を持たずに往診専門とするのかを決定し、店舗が必要ならば場所探しをする必要があるでしょう。開業資金には、鍼灸院で使う器具などを購入する代金や、すぐに顧客がついて利益が上がるとは限らないので初年度の生活資金も含まれます。鍼灸院を始めたと思ったらすぐにつぶれてしまったといったことにならないように、余裕を持った資金を確保しておくことをおすすめします。
鍼灸院となる建物にも法律上の基準があり、専用の施術室や待合室は規定の広さを確保しなければなりません。また、開業した後は10日以内に、鍼灸院の所在地や名称、業務の種類、構造設備の平面図、開設者の氏名など、必要な事項を記入して役所へ届ける必要があります。こういったことをひとつひとつ準備して現実のものにしていくのは骨が折れるでしょうが、鍼灸院を開業する人は例外なくこの苦労を乗り越えているのです。
院です。女性専用の鍼灸院が全国各地にできていることからも、そのニーズの高まりを感じることができます。

 

☆開業に必要な資金はどう調達する?

鍼灸院の開業に必要な資金は300万~500万円といわれています。生活資金なども含めるとさらに初期費用がかかることが予想され、開業資金を個人で用意するのは大変です。ただ、これらすべての費用を自己資金のみで用意する必要はありません。金融機関からの融資という形で資金を調達できれば、開業までの期間を大幅に短縮できますし、不測の事態が生じた際のリスクヘッジにもつながります。
融資を受ける場合、日本政策金融公庫を利用する鍼灸師が多いようです。日本政策金融公庫は国が出資している金融機関となっており、長期や低金利での融資が受けやすいという特徴があります。また、新たに事業を始める人を対象とした無担保・無保証人制度が利用できることも大きいでしょう。開業にかかる総額の10分の1以上の自己資金を確認できれば、融資を利用できる可能性があります。ただし、他の金融機関と比べて融資が受けやすい日本政策金融公庫ですが、融資を実施した案件では自己資金を最低3割用意した人は資金を調達できているようです。つまり、融資を受ける場合には3割程度の自己資金を用意しておくべきだといえます。
日本政策金融公庫から融資を受けるには、自己資金の他にも、開業の動機や個人の経歴、施術やサービスの特徴などの事業内容をしっかりとアピールする必要があります。また、資金計画の妥当性なども厳しくチェックされるため、それぞれの金額を冷静に見積もったうえで事業の内容について納得してもらわなければなりません。

 

☆開業する場所はどこがいい?

開業資金の目途がたてば、次に開業する場所を探す必要がでてきます。テナントを借りる場合には資金面で妥当な物件でなければなりません。開業当初は顧客がついていないこともあり、どうしても経営が不安定になりがちです。開業後1年間は利益を上げるのは難しいかもしれません。そんな状況に陥ったときに、無理をして家賃が高めの物件を借りていると、月々の支払いに苦しめられることになるのです。何事も計画的に、そして資金に応じた支出を心がけましょう。
店舗の立地ですが、店舗周辺にはどのような人の流れがあるのか、住んでいる人の年齢層はどうなっているのか、駅・デパート・スーパー・商店街などは近くにあるのかは、鍼灸院に来てくれる客層や利益に大きく影響を与えることになります。たとえば、住宅街や駅などから離れた場所にポツンと建っている鍼灸院には駐車場が必要かもしれません。このようなケースを見てみると、立地と店舗のあり方は密接に結びついていることがわかるでしょう。また、一口に駅前といっても、急行が停車するような大きな駅では、電車を利用する多くの人を顧客として取り込めるチャンスが広がります。一方で、普通電車が停車する駅の多くは住宅地を近くに抱えていることが多く、顧客の年齢層は幅広くなる傾向があるでしょう。このように、ターゲットをどこに絞るかというのも立地選びの要素となります。自分がどんな鍼灸院を開業したいのかというイメージに合わせて場所を選ぶことが重要でしょう。

 

☆鍼灸師の開業に関する規定・届け出

鍼灸師の開業にあたっては細かい規定が定められており、たとえば、専用の施術室は6.6平方メートル以上、待合室は3.3平方メートル以上の広さがなければならないという構造設置基準があります。この他にも鍼灸院は住居と構造上独立していなければなりません。これらの基準を満たすには、ある程度広い敷地面積が必要になりますし、その基準に沿った形で内装工事の注文をする必要がでてくるでしょう。
また、開業後10日以内に都道府県知事への届け出が必要となることも忘れてはなりません。書類には、開設者の氏名と住所、開設の年月日、名称、開設の場所、業務の種類、施術者の氏名、構造設備の概要および平面図などを記入します。提出先は開業地の保健所です。不明な点などがあれば、そのままにせずに保健所でしっかりと確認してから手続きを進めましょう。

 

☆鍼灸師開業と税金

鍼灸師が開業したときの注意点に税金の問題があります。開業によって個人事業主となったため、確定申告を行って税金を納めなければなりません。経費をどの程度認めてもらえるのかなど、疑問点もでてくるでしょう。そういった場合には税理士に相談して、何事も明快にしておくことが大事です。それというのも、もし税務署に脱税と判断されれば追徴課税のリスクを負うことになります。社会的な信用に関わるため、所得税の虚偽申告は当然やってはいけませんし、脱税と疑われるようなことはできるだけ避けるべきです。
また、事業が軌道に乗ったら法人化することで税制上有利になることも覚えておくとよいでしょう。個人事業にかかる所得税は、所得が増えれば税金も増えていくという累進課税ですが、法人にかかる税率は一定のため節税対策となります。では、どの程度事業が軌道に乗ればよいのかという話になりますが、年間売り上げが500万円を超えたら法人にしたほうがお得になるでしょう。法人化は社会的な信用度を高めるといったメリットもあるため、積極的に行っていくことをおすすめします。

 

☆開業に有利な資格

より安定的な鍼灸院の経営を目指すのであれば、開業に有利な資格であるあん摩マッサージ指圧師と柔道整復師の資格を取得しておくことをおすすめします。あん摩マッサージ指圧師は、指圧を用いることで体を健康にしてくれる療法です。資格を取得するには養成学校を卒業し、国家試験に合格しなければなりません。鍼灸師となるための専門学校で学べることも多いです。鍼灸師となるにははり師ときゅう師の2つの資格があればよいのですが、これにあん摩マッサージ指圧師の資格が加わると三療師としての活動が可能となり、鍼灸マッサージ治療院が開業できます。鍼灸院よりも幅広い顧客を対象とできることがメリットです。
また、柔道整復師というのは、骨や関節、筋などの損傷に対して、接骨院や整骨院で治療を行う専門家です。この柔道整復師も国家試験に合格しなければならないため、専門学校などで学ばなければなりません。この資格を持っていれば、ねんざ、打撲、脱臼などの治療も可能となり、運動部での活動によってケガをした人にも柔軟に対応できるようになります。スポーツトレーナーやリハビリの補助など、扱える治療・施術の範囲が広がるため、顧客にできる客層も幅広くなるでしょう。
あん摩マッサージ指圧師も柔道整復師も国家資格です。簡単に取得できるものではありません。しかし、鍼灸師の資格とともに取得しておけば、幅広い患者を診ることが可能となり、結果として経営の安定がもたらされる確率が高まるでしょう。修行期間中に、こういった有利になる資格の取得も視野に入れておくことをおすすめします。

 

☆しっかり準備して開業に備えよう

鍼灸師が開業するためには、しっかりとした準備から始めなければなりません。まずは開業資金を確保する必要がありますし、融資をしてくれる金融機関を見つけることができれば大きな前進です。開業の前に、あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師などの資格を取得して、幅広い患者を治療できるようにしておくと有利になります。その他にも、開業する場所の選定や法律上の手続き、税金対策など、その都度、決定しながら進めていかなければならないことが目白押しです。将来への備えを万全にして、開業という大きな目標を実現していきましょう。

 

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