鍼灸コラム

鍼灸師について

難易度が知りたい!鍼灸師試験の合格率

2018.5.18

鍼灸師は専門知識やコミュニケーション能力が求められる仕事であり、誰にでもすぐにできる仕事ではありません。国家資格であり、養成学校などに一定期間通ったのちに、国家試験に合格することが求められます。これから鍼灸師を目指す人にとっては、国家試験はどれほど難しいのか、また合格率はどれくらいなのかと気になることは多いでしょう。そこで今回は、鍼灸師試験の内容や合格率、またどれだけ勉強することが求められるのかなど、試験にまつわるさまざまなことについて詳しく説明します。

 

☆合格率はどのくらい?鍼灸師試験

鍼灸師になるためには国家試験合格が求められますが、実は「鍼灸師」という資格があるわけではありません。「はり師」と「きゅう師」の2つの資格に分かれており、それぞれの国家資格を取得した人のことを「鍼灸師」と呼ぶのです。両方とも試験は年に1回開催されており、同時に受験する場合には共通科目が免除されます。もちろん、どちらかだけ受けることもできますが、就職のことを考えたら両方持っているほうが有利です。
試験に合格すれば晴れて鍼灸師を名乗れますが、そもそも試験を受験するためにも資格が必要です。その資格とは、厚生労働省と文部科学省の認定を受けた専門学校や大学に通い、必要な課程を修了することです。3年以上にわたり、知識や技能を身につけることが求められますので、思い立ったらすぐに受験、というわけにはいかないのです。
このように、資格取得までには一定以上のステップが求められる鍼灸師ですが、その合格率は平成4年度に開催された第1回以降70~80%台で推移しています。第22~26回(平成25~29年度)の結果を見てみると、はり師は77.3%、76.5%、73.4%、67.0%、57.7%、きゅう師は79.0%、77.1%、75.0%、67.7%、62.5%と、両方とも徐々に低下しています。しかし、低下しているとはいえ、単純計算で10人受験すれば6~7人は合格できているということですから、合格率だけで見ればそれほど狭き門というわけではないでしょう。

 

☆こんなに違う!新卒と既卒の合格率

上記の数字だけを見ると「合格率は徐々に下がっている」と言うことが確かにできますが、受験者を「新卒」と「既卒」に分けて分析すると興味深い数字が現れます。「新卒」とは、すなわち専門学校あるいは大学などを卒業したその年に国家試験を受ける人を指し、「既卒」とは学校を卒業してから時間を空けて資格試験に挑む人のことを指します。新卒の際の試験に落ちてしまった、何らかの理由で卒業後すぐには受験ができなかったなど理由は人それぞれですが、新卒以外はすべて「既卒」とくくられます。
そして、第25回の新卒の合格率はきゅう師が83.3%、はり師が83.5%です。それに対し、既卒の合格率はきゅう師が12.3%、はり師12.6%とガクンと数字が落ちます。この数字から導き出されるのは、既卒受験者によって合格率が下げられているということです。もちろん、新卒でもなお2割近くの人が落ちていることも否定できない事実ではありますが、これほど数字に開きがあるのは注目に値するでしょう。
大学などで学んでいる場合、日々の授業や定期テストなど、強制的に学ぶ機会が多くあります。しかし、既卒となるとそうはいかず、自分自身で学習計画を立てて取り組んでいく必要があります。勉強が得意な人ならまだしも、そうでない人にとってはそういった状況で常に集中力を保つのはなかなか困難が伴うのでしょう。合格率を見ても、自身で継続的に学習をすることがいかに難しいかがうかがえます。

 

☆なぜ?合格率が低下している原因

合格率が下がり始めたのは第11回(平成14年)以降ですが、それには受験者数の増加が関係していると考えられます。第1回試験の際ははり師、きゅう師ともに受験者数が2,350人程度でしたが、第11回のときには3,000人を超え、それ以降毎年およそ500人ずつ増え、第25回までには5,000人前後で落ち着いています。
受験者数が増えた背景には、平成13年に行われた規制緩和があります。この規制緩和によって鍼灸師のための専門学校や大学が激増、結果として入学の難易度が下がり、それまで狭き門だった専門課程の門戸が広く開かれたのです。これにより、さまざまな学力レベルの学生がはり師・きゅう師の試験を受けるようになり、合格率を変化させたと考えられています。受験者数の増加により合格率が下がると、翌年以降に試験に再チャレンジする人(既卒)も増えます。前述の通り、既卒になると試験合格が非常に難しくなりますので、これもまた合格率低下に影響をもたらしていると言えるでしょう。各学校などから既卒に対するフォローがあれば、合格率も少しは改善するかもしれません。
また、試験の難易度が上がっていることも原因のひとつに数えられます。医学の分野は日進月歩で研究が進みますから、過去問を見るだけでは対応できない問題も多くあるのです。鍼灸に関する法規が変わることもあり、最新の情報についていけないと合格も遠のいてしまいます。既卒者の合格が難しいのにはこういった事情もあります。自身が勉強する際には傾向分析を綿密に行い、なるべく最新の情報が載った問題集を使うようにしましょう。

 

☆受験者数も低下している?!

前述の通り、はり師・きゅう師試験の受験者数は第11回以降増えています。第11回からの5年間の受験者数の推移を見てみると、はり師は2,752人、2,660人、2,645人、3,179人、3,753人、きゅう師は2,715人、2,631人、2,613人、3,136人、3,739人です。はり師・きゅう師の受験者数はほぼ同じように推移していますが、それは同時に資格取得を目指す人が多いためです。その後も数字は伸び続け、第17回(平成20年)にピークを迎えます。ちなみに、そのときは5,354人がはり師試験を、5,320人がきゅう師試験を受けました。合格率はそれぞれ78.7%、78.4%です。これ以降、受験者数は緩やかに下降していきます。
しかし、受験者数が減っているからといって合格率が上がっているわけではなく、むしろ下がっています。はり師・きゅう師の試験は定員数が定められておらず、合格基準を満たせば何人でも合格できます。周りと比べて優劣を決めるのではなく、「プロ」としての十分な知識が備わっているのかを見られるテストと言えます。周りとの競争ではありませんので、マイペースに取り組める一方、基準に達しない限り合格はできません。年によって合格率に大きな差が出ることがあるのはそのためです。

 

☆知りたい!合格するために必要な勉強時間

試験の内容は、はり理論あるいはきゅう理論に加え、共通科目として医療概論、衛生学、公衆衛生学、解剖学、生理学、関係法規、病理学概論、臨床医学総論、東洋医学概論、リハビリテーション医学、経路経穴概論など、全部で13科目が挙げられます。試験は基本的にマークシート式で、4択問題になっています。共通科目は1問1点で、150点満点中90点以上、すなわち正答率6割以上が合格基準です。しかし、共通科目で合格ラインを越えても、はり理論・きゅう理論で合格基準に達さないと不合格となってしまいます。総合点ではありませんので、どちらかに注力しすぎてしまうと合格が難しくなることがあるので注意が必要です。
しかし、新卒の合格率の高さを見ればわかる通り、専門学校や大学などで学んだことがしっかりと身についていれば試験合格はそれほど難関というわけではありません。その日に学んだことをきちんと復習していれば、それがそのまま試験対策となります。独学で学ぶ場合は、1科目につき60時間程度必要だと言われることもありますので、授業は真面目に取り組むようにしましょう。既卒の場合は一度学んだことが法規の改正などにより内容が変わっていることがありますので、最新の問題集を使って情報のアップデートが必要です。
もちろん、どれほど勉強すべきかは個人の記憶力などによって大きく変わりますので一概には言えません。ひとつのことを覚えるのに1分で済む人もいれば5分かかる人もいるでしょう。自分自身のキャパシティと相談しながら、より効率的に学習を進められる方法を見つけてみましょう。

 

☆しっかり学んで鍼灸師試験を突破しよう!

ここまで見てきたように、はり師・きゅう師ともに試験の合格率は70%前後と決して低いわけではありません。新卒に限ってみれば80%以上の人が合格していますから、学校で教わったことをきちんと自分のものにしていれば合格はそれほどハードルの高いものではないでしょう。ひとつひとつの授業に集中し、日々復習を進めていくことが合格への近道です。しかし、新卒で合格できなかった場合、難易度はぐっと上がります。また、試験に合格できなければ就職活動もできませんから、自身のキャリアのためにも、一発合格を目指しましょう。

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